時折、ふと思うことがある。
今私が生きているこの世界は、現実なのだろうか、と。
私は本当に、現実を生きているのだろうか。
今の私には、友がいる、仲間がいる。
そして何より、笑う自分がいる。
数年前の私からは想像できない現実。
数年前の私なら、決してありえない未来。
そう、ありえない。
家族に捨てられ、ただ病室で何もせずに過ごす日々。
自分を切り刻み、快楽と愉悦を得ていた日々。
友達なんていなかった。
仲間なんていなかった。
笑う事なんてなかった。
理解者なんていなかった。
ずっと一人だった。
それが、今ではこんなに恵まれている。
おかしい。
ありえない。
だから、たまに思う。
ひょっとして、今私が生きているこの世界は、夢じゃないんだろうか。
友が欲しいと思った。
仲間が欲しいと思った。
そんな私が見ている夢。
いつか覚める夢。
目をさませばきっと、そこにあるのは見慣れた病室の天井。
もしそうだとしたら。
目を覚ました私はきっと、生きてはいけない。
人のぬくもりを知ってしまったから。
あの日々に戻されたら、私は生きてはいけない。
温かいお湯につかってしまったら、もう冷水には戻れない。
・・・私は、弱くなってしまった。
そして、この温かいお湯につかっている限り、私はもっと弱くなっていく。
それでも。
私はこの温もりの中にいたい。居続けたい。
夢でも、現実でも、幻でも構わない。
ずっと温もりに包まれていたい。
そう思うのは、間違っているのだろうか。
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