(※このSSは、実際のバトルロワイヤル結果とは無関係です)
ずしりと右腕にかかる重み。
私の赤手「鳳仙花」。
黒い腕に深紅の爪。朱色の鎧飾り。
合図とともに始まる、殺し合い。
一気に殺気が満ちる。
ああ・・・ゾクゾクする。
自分の体を抱き、私は頬を染める。
そんな無防備な私を見逃すほど、敵は甘くなかった。
ザックリと、背中が割れる感覚。
振り向けば、男子が「どうだ」と言わんばかりの表情で立っていた。
それに私は目で返す。
(・・・・だから?)
と。
明らかな致命傷にひるまず笑う私に、男子は慄いたようだ。
一歩下がり、そして、背後からの暴れゴマに巻き込まれ無様に倒れる。
起き上がる男子の顔に、唇が当たりそうなくらい、私は顔を近づける。
赤面する男子。
私はすいっと顔をそらし、その首筋に、歯を立てた。
みるみるふさがる傷。
力尽き、男子が倒れる。
「ふ・・・ふふふふ・・・」
ペロリと、唇についた血をなめとる。
さぁ、宴の始まりだ。
死屍累々・阿鼻叫喚
まさしくこの為にある言葉。
あちらこちらで悲鳴と怒号が上がる。
吸血と侵食という、副次的な回復方法しかない私の体は、治癒が追い付かずどんどん傷が増えていく。
しかし、だからなんだというのか。
こういった乱戦で生き残る方法は、「弱っている相手をつぶす」ことと「自分が弱っていることを悟られない」ことだろう。
だが、私にとっては関係ない。
生き残るためにいるのではなく、楽しむためにいるのだ。
視線を巡らせて見えたのは、小学生くらいの女の子。
血まみれの私を見て、思わず息をのんだ。
恐怖に駆られた表情・・・可愛い。
「ふふふ・・・あは♪」
背中から生えた蜘蛛足が、少女に突き刺さる。
かすかに上がる悲鳴。
何とか蜘蛛足を振り切って、逃げだすが、すぐに力なく倒れる。
あたしの傷が、わずかばかりふさがる。
「あはぁ・・・♪・・・・あははははははははっ!」
ステージの真ん中で、私は嗤う。
最高・・・・!
なんていい舞台!最高の舞台!
傷つき、傷つけ、血を浴び、血を浴びさせる。
ステージの中心で、魔女は嗤う。
誰もが私を奇怪の目で見る。
ああ、もっと見て。
この瞬間・・・私はひとりじゃない!
胸に突き刺さる刃。
瀕死の私に、誰かがとどめを刺しにきたらしい。
魂が肉体を凌駕する。
ああ・・・ぁああ・・・・!
痛い。気持ちいい。痛い。気持ちいい。痛い。気持ちいい。気持ちいい。痛い。気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。キモチイイ。キモチイイキモチイイキモチイイキモチイイ!
最高!
この快楽を・・・貴方にも!
目の前の敵を、鳳仙花が薙ぎ払う。
焔に包まれ倒れる敵。
「アハッ・・・アハハッ♪」
全身が痛い。全身が気持ちいい・・・!
私は今・・・生きている!
「・・・もっと・・・もっと頂戴!たくさん頂戴!」
痛みも、快楽も。
すべて頂戴!
そして私に教えて。
私が生きているって教えて!
目の前に、光が迫る。
光の槍。
目の前が真っ白になる。
避けれない。
それが私が見た、最後の景色。
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